【はじめに】
議員の皆様、おはようございます。本定例会の開会にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
本日は、令和7年第1回鶴ヶ島市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご参集を賜り誠にありがとうございます。
【八潮市内道路陥没事故のお見舞い】
はじめに、1月28日に発生した「八潮市内道路陥没事故」について、男性1名が乗車していたトラックが落下してから、早くも4週間が経とうとしています。しかしながら、いまだに運転手の救出には至っておらず、近隣自治体の市民生活にも多大な影響を及ぼしています。改めて被害に遭われた方々、特に直接的な影響を受けた方に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
この事故を受け、公共施設等の安全管理について改めて考えさせられる機会となりました。
市では日頃から施設の点検を実施しておりますが、老朽化に伴う事故が発生した場合、市民生活に大きな影響を及ぼす恐れがあることから、危険な箇所がないか緊急点検を行うよう指示いたしました。
【穏やかな年明け】
さて、今年も早いもので2ヶ月が過ぎようとしています。昨年の今頃を振り返ると、年始早々に発生した能登半島地震により、多くの地域が甚大な被害を受け、復旧・復興に向けた懸命な支援活動が続けられている最中でした。被災された方々にとっては、一日でも早い生活再建を目指し、厳しい日々を過ごされていたことと思います。
さらに時を遡ると、新型コロナウイルス感染症の影響により、市民の皆さんは日々の生活に大きな制約を受ける時期もありました。
今年は、久しぶりに穏やかな年明けを迎え、例年よりも心に余裕を持って日常をスタートできたことを実感しております。これまで続いた困難な状況を振り返ると、こうして平穏な日々を迎えられることに、改めて感謝の念を抱かずにはいられません。
【令和7年度当初予算】
次に本定例会では、令和7年度当初予算をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。また、4月からの新しい年度を控えた定例会でもあります。この機会に、新年度予算の編成と事業の概要について申し上げ、議員各位並びに市民の皆様に、ご理解とご協力をお願いしたいと存じます。
【国の動向】
国では、「経済財政運営と改革の基本方針2024」、いわゆる「骨太の方針」において、「賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を実現することを目指す」としています。そして、人口減少や社会課題に対応しつつ、ICT技術を活用しながら、地方から新たな価値を発信することを目指す「地域創生2.0」の起動、官民連携による投資の拡大、さらには充実した少子化・こども施策の着実な実施に向けた方針などが示されたところです。
【予算編成にあたって市の考え方】
このような中、令和7年度は「第6次鶴ヶ島市総合計画後期基本計画」の初年度に当たり、総合計画に掲げた市の将来像「しあわせ共感 安心のまち つるがしま」の実現に向け、新たな計画のもとで第一歩を踏み出す重要な年度となります。
令和7年度の予算編成では、中長期的な視点に立った健全な行財政運営を基本として、総合計画に掲げている、3つの重点戦略「こどもにやさしいまちづくり」、「いつまでも健康でいられるまちづくり」、「多様な働き方が実現できるまちづくり」を軸に、事業の予算化に取り組みました。前期基本計画に引き続き、市の将来像「しあわせ共感 安心のまち つるがしま」の実現に向けて、各事業を着実に実施してまいります。それでは、新年度の主な事業の概要について、重点戦略ごとに申し上げます。
重点戦略1「こどもにやさしいまちづくり」の分野では、子育て世帯への支援や教育環境のさらなる充実を図ってまいります。
子育て世帯への支援策として、こどものインフルエンザ予防接種費用の全額を助成します。これにより、子育て世帯の経済的負担が軽減されるだけでなく、感染による重症化の予防や保護者が看護のために仕事を休まざるを得ないといった間接的な負担の軽減も期待できます。教育面においても、学級閉鎖等の減少による授業への影響が少なくなるものと考えています。
また、病気や異常を早期に発見し、こどもの健康の保持・増進を図ることを目的に、1か月児健康診査の費用についても助成を行うことで、安心して子育てができる環境を整えてまいります。さらに、保健センター内に「こども家庭センター」を新設し、母子保健機能と児童福祉機能を統合させることで、子育てに困難や悩みを抱える家庭に対し、保健師等の専門職による相談支援体制を強化し、すべてのこども、妊産婦、子育て世帯に対して一体的で切れ目のない支援体制を整備します。こうした取り組みを通じて、子育て世代の皆さんが安心して出産を迎え、心穏やかに育児ができる環境の整備に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、教育環境の充実については、これまで検討を重ねた民間施設の活用による水泳指導について、全ての小・中学校に拡大します。これにより、雨天や低温といった天候に左右されない計画的な授業が可能となり、教員の負担軽減にも貢献できるものと考えています。また、通級指導教室に在籍する児童・生徒の増加に伴い、さらなる環境の充実を図るため、新町小学校、杉下小学校、長久保小学校の3校に新たな通級指導教室を開設します。これにより、全ての小学校に通教指導教室を設置することとなります。
災害時の指定避難所となっている小・中学校のうち7校の体育館については、屋外からの段差を解消する工事を実施します。さらに、鶴ヶ島中学校と西中学校の再編に向け、生徒たちが安心して登下校できるよう、通学路の整備を実施します。
未来を担うこどもたちのためには、子育て世代へのさまざまな支援に加え、こどもたち自身が安心して楽しく過ごせる環境づくりが重要です。そのため、市では「こどもにやさしいまちづくり」の取り組みをさらに推進し、子育て世代から認められ、選ばれるまちを目指してまいります。
次に、重点戦略2「いつまでも健康でいられるまちづくり」の分野では、市民が日々の暮らしの中で気軽に健康づくりに取り組めるよう、事業を推進してまいります。
ラジオ体操の普及促進やウォーキングの普及拡大をはじめ、高齢者の健康維持に寄与する保健事業と、介護予防・フレイル対策を一体的に実施することで、健康長寿の取り組みを進めてまいります。
シルバーeスポーツの分野においても、高齢者の認知症予防やデジタルデバイドの解消を図るとともに、社会的なつながりや世代間交流の創出に引き続き取り組みます。そして、令和7年度は、食の面から市民の健康増進を図るため、減塩と野菜摂取の推進に重点を置き、大学や企業との連携を強化しながら、食育を推進します。
これらの取り組みと併せて、市民が外出したくなる環境を創出するため、地域の皆さんの声を聴きながら、誰もが快適に過ごせる市民の交流の場となる魅力的な公園整備を進めています。
令和7年度は、令和6年度に開催したワークショップの成果を踏まえ、若葉駅西口2号街区公園を整備します。地域の皆さんに親しまれ、幅広い世代から愛される公園として、多くの皆さんに利用されることを期待しています。
次に市民センターの分野では、富士見市民センターの外壁および屋上防水工事、大橋市民センターのエレベーター更新工事に向けた設計業務を実施します。また、鶴ヶ島駅周辺地区まちづくり整備計画に基づき、(仮称)地域交流施設の基本設計にも取り組みます。
市では今後とも、市民による多様な健康づくりを支援し、社会参加のきっかけを提供することで、誰もが生涯にわたって健康に暮らせるまちづくりを目指すとともに、気軽に外出したくなるような魅力あふれる環境づくりにも積極的に取り組んでまいります。
次に、重点戦略3「多様な働き方が実現できるまちづくり」の分野では、働く場の確保や住環境の整備を進めてまいります。
働く場の確保に向けましては、引き続き、企業誘致により雇用の創出を図る奨励金制度を活用し、市民の雇用の拡大を図るとともに、企業で働く従業員が市内に定住しやすい環境づくりを推進してまいります。
この制度を活用することで、市民に新たな雇用機会を提供し地域経済の活性化を促進するだけでなく、若者や働き盛りの世代に市内へ居住してもらい、企業においても地域に根差し、市民との交流を深めてもらうことで、地域全体の魅力向上にもつながるものと考えております。今後も市内の雇用創出や定住促進に向けた取り組みを着実に進め、企業立地の効果を地域にしっかり吸収し、持続可能なまちの実現を目指してまいります。
次に、住環境の整備についてです。若い世代の家族の転入や定住の促進を図るとともに、市内に点在する空き家の有効活用を支援するため、二つの新たな補助金制度を創設します。
一つ目は、親元での同居や近居を支援する取り組みです。この取り組みを通じて、地域への定住を促進し、誰もが安心して暮らせる環境の実現を目指します。これにより、家族間の絆を深めるとともに、地域全体の魅力を高め、活力ある地域社会の形成に努めてまいります。
二つ目は、自らの土地を拡張してより良く活用するために、隣接する土地と空き家を取得して、建物の解体や建て替えを行う土地所有者に対する支援の取り組みです。この取り組みにより、空き家の減少や狭小敷地の改善を図るとともに、生活環境の向上や防犯・防災対策にもつながるものと考えています。このように市民の皆さんがより快適で安全に暮らせる環境を整えてまいります。
このほか「第6次総合計画基本構想」の土地利用構想において、「土地利用転換検討区域」に位置付けられている若葉駅と鶴ヶ島駅に挟まれた区域について、新たに現状を踏まえた土地利用の検討を進めます。
鶴ヶ島駅周辺地区のまちづくりに関連する事業では、鶴ヶ島駅からガーデンパークへと向かう鶴ヶ島駅通りについて、無電柱化の実施設計を進めるとともに、安全な道路空間を確保するため、見通しの悪い交差点の改良工事を実施します。
「都市計画道路共栄鶴ヶ丘線」の整備に向けては、令和7年度も引き続き、用地買収を進め物件補償を実施します。これらの事業を通じて、市内における交通環境の安全性と利便性の向上を図り、地域全体で活力あるまちづくりを着実に推進してまいります。
さらに、市内公共交通機関である「つるバス・つるワゴン」の利便性向上にも力を入れ、令和10年度の公共施設再編などに合わせ、路線運行経路や時刻表の見直しなどの検討を進め、市民の皆さんがより快適に移動できる環境を目指します。これらの取り組みを通じて、交通インフラの充実に寄与するだけでなく、人々がより便利で安心できる生活を送れるような、持続可能なまちづくりを目指してまいります。
【その他の主な取り組み】
これらの重点戦略の取り組みのほか、安心・安全なまちづくりへの取り組みとして、令和7年度は公共の場への防犯カメラの設置を進めてまいります。それに先立ち、一部前倒しする形で本議会に提案している補正予算において、市民や地域団体に対し防犯カメラなどの購入・設置に対する補助金を創設いたします。こうした取り組みが、地域住民や施設利用者に安心感を与え、地域全体の安全性向上にも非常に有効であると考えています。
次に、ゼロカーボンの推進に関しましては、「三宅島こども自然環境体験プログラム」を実施します。このプログラムは、自然に触れる機会が比較的少ない本市のこどもたちが、豊かな自然の中での様々な体験活動を通じて、環境問題を自分ごととして捉え、環境保全に取り組む意識を育んでほしいという思いから行うものです。
行政のデジタル化の関連では、市ホームページや公式アプリ「つるポッケ」、公式LINEに市民からの質問に対し自動で返答する機能、いわゆるチャットボットを導入し24時間対応の情報提供により、時間に縛られず問い合わせができる環境を整えます。
また、画面に表示される質問に答えていくだけで、転入・転出や出生などのライフイベントに必要な手続きや持ち物が分かるサービスも開始します。これらにより、市役所の手続きにおいて、事前の確認が可能となり、来庁回数の削減や待ち時間の短縮によって市民サービスの向上を図ってまいります。自治体情報システムの標準化・共通化に向けた取り組みでは、国が示す期限が令和7年度となっておりますので、それに向けた環境を整備してまいります。
次に魅力の発信の分野では、シティプロモーションの強化を進めます。地域の特色や地域資源等を効果的に発信するため、SNSや動画配信を活用した情報発信を強化してまいります。また、市民や地域団体、企業と一体となって市のブランドイメージを創り上げていきたいと考えています。さらに、転入・定住を促進するための情報提供にも力を入れ、鶴ヶ島市の良さや魅力を市内外に広げることで、まち全体のブランド価値の向上を目指してまいります。
【予算総額】
以上、令和7年度の事業の概要を申し上げました。
予算の総額は、当初予算額としては4年連続で過去最大となり、総額255億7,000万円、対前年度比12億1,000万円、率にして5パーセントの増額となりました。鶴ヶ島市では、今後も急速に少子高齢化が進み、さらに本格的な人口減少が始まる見込みです。鶴ヶ島市の将来を見据え、年齢構成の是正を図りつつ市民誰もが住み続けたいと思える、環境を整えていくことが重要と考えています。そして、さらに市外からも人や企業を積極的に呼び込むことで、将来にわたって市の活力を維持し、さらなる鶴ヶ島市の発展へとつなげていきたいと考えております。
【提出議案等について】
最後に、本定例会に提案させていただきました議案について申し上げます。
専決処分の承認が1件、人事案件が1件、条例に関する議案が15件、令和6年度補正予算に関する議案が7件、令和7年度当初予算に関する議案が6件です。
内容につきましては、提案理由等によりご説明申し上げますので、慎重ご審議の上、ご議決ご承認賜りますようお願い申し上げまして、開会の挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。