平成21年度一般会計では、歳入(収入)の決算額が、189億4743万円、歳出(支出)が182億8154万円となりました。
定額給付金事業が前年度から繰越して実施されたことなどにより、歳出は過去最大規模の決算となっています。しかし、歳入では市税が減収となるなど、財政運営は引続き予断を許さない状況です。
歳入
市税は、長引く景気低迷の影響を受けて、軽自動車税以外の全ての税目において減額となり、3年ぶりに100億円を下回りました。一方で、税収などの不足を賄うために臨時財政対策債が増額となっていますが、歳入全体では対前年2.3%の減となっています。
歳入総額 189億4743万円
財政用語の解説
◆市税 | 市民税、固定資産税などの税収入 |
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◆国県支出金 | 特定の事業のために国・県から支出されるお金 |
◆市債 | 大きな事業などを行うために市が借り入れるお金 |
◆地方交付税 | 市の財政状況に応じて国から交付されるお金 |
◆繰越金 | 前年度から繰り越したお金 |
◆地方消費税交付金 | 県の地方消費税収入の中から市に対して交付されるお金 |
◆分担金及び負担金 | 市が行う特定事業により利益を受けた方から負担していただくお金 |
◆地方譲与税 | 国の税収入の中から市に対して交付されるお金 |
◆繰入金 | 他会計や基金から繰り入れるお金 |
◆地方特例交付金 | 児童手当拡充に伴う財源の経過措置として、また、住宅ローン減税に伴う市民税の減収補てんなどのために国から交付されるお金 |
◆使用料及び手数料 | 【使用料】公共施設などを利用した方から負担していただくお金 【手数料】特定の方への行政サービスに対して負担していただくお金 |
◆その他 | 利子割交付金、配当割交付金など |
歳出
民生費は、54億1853万円で、全体の29.6%を占めています。民間保育所運営支援事業や学童保育室建設事業(藤小学校区・杉下小学校区)などを行いました。
総務費は、38億4683万円で全体の21.1%を占めています。定額給付金給付事業や鶴ヶ島クラウド構築事業などを行いました。
土木費は、23億8334万円で全体の13.0%を占めています。道路改良事業や道路舗装修繕事業、市道758号線(共栄一本松線)整備事業などを行いました。
教育費は、21億9962万円で全体の12.0%を占めています。藤中学校・富士見中学校校舎耐震補強事業や小・中学校校務用コンピュータ整備事業などを行いました。
歳出全体では対前年3.3%の増となっています。
歳出総額 182億8154万円
財政用語の解説
《歳出》
◆民生費 | 高齢者、児童、障害者などの福祉全般の事務・事業に使うお金 |
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◆土木費 | 道路、公園整備などに使うお金 |
◆総務費 | 住民窓口、課税徴収、IT化など市の総括的な事務に使うお金 |
◆教育費 | 学校運営の費用や公民館、スポーツなど教育全般の事務・事業に使うお金 |
◆公債費 | 市債を返済するために使うお金 |
◆衛生費 | 保健衛生、公害対策など安全で衛生的な生活のために使うお金 |
◆消防費 | 消防や災害対策に使うお金 |
◆その他 | 議会費、労働費、農林水産業費、商工費など |
《歳出》
◆人件費 | 報酬、給料、職員手当など、通常労働の対価として支払われるお金 |
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◆補助費等 | 一部事務組合への負担金および団体などへの補助金 |
◆物件費 | 消耗品・備品の購入費、業務の委託料などに要するお金 |
◆扶助費 | 生活保護法など各種法令に基づき、被扶助者に対して支給されるお金 |
◆繰出金 | 他会計や基金(定額を運用するもの)に対して支出するお金 |
◆公債費 | 市債(借入金)の返済に要するお金で、市債の元金返済金とその利子 |
◆普通建設事業費 | 道路、区画整理などの都市基盤や公民館、学校などの公共施設の整備に要するお金 |
◆その他 | 維持補修費、積立金、貸付金、投資および出資金 |
特別会計決算
会計名 | 歳 入 | 歳 出 | |
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特別会計 | 国民健康保険 | 62億9176万円 | 59億3876万円 |
老人保健 | 3162万円 | 2302万円 | |
後期高齢者医療 | 3億5110万円 | 3億4762万円 | |
介護保険 | 23億1920万円 | 21億9139万円 | |
一本松土地区画 整理事業 |
2億124万円 | 1億9181万円 | |
若葉駅西口土地 区画整理事業 |
3億8056万円 | 3億6786万円 |
【特別会計】特別会計は、一般会計とは別に、特定の事業を行うために条例などによって設置されるものです。
一部事務組合負担金
組合名 | 決算額 |
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坂戸、鶴ヶ島下水道組合 | 6億2634万円 |
坂戸地区衛生組合 | 1億615万円 |
埼玉西部環境保全組合 | 7億6435万円 |
坂戸・鶴ヶ島消防組合 | 8億8919万円 |
広域静苑組合 | 3119万円 |
【一部事務組合】一部事務組合とは、複数の市町村で事務の一部を共同処理するために設置された団体です。市が構成している一部事務組合は6組合あります。坂戸、鶴ヶ島水道企業団は、水道使用料の収益などにより運営しているため負担金は支出していません。
市債残高の推移
市債は、道路や公園、学校などの整備のために、国や金融機関などから借り入れたお金です。
公共施設の整備には一時的に多額のお金が必要になります。市債はこのような単年度で支払うことが難しい場合に発行されます。市債には、その施設を使う将来の市民にも経費を分担してもらい、「世代間の公平を保つ」という役割もあります。
市債は将来に負担を残すものであることから、市ではバランスを取りながら市債を活用するよう努めており、また、過去の市債も計画的に返済されています。
鶴ヶ島市の財政は余裕があるの? 決してそうではありません
市の財政状況を表す指標のひとつに経常収支比率があります。経常収支比率とは市税などの毎年決まって収入されるお金(経常一般財源)が人件費や公債費、施設の維持管理経費などの毎年決まって支出されるお金(経常経費)にどれだけ使われているかを表わす指標です。これは市の財政の柔軟性を表わすものと言われていますが、数値が100%に近づくほど財政にゆとりがないことを示しています。
平成21年度決算の市の経常収支比率は92.7%で、前年度と比較して0.2ポイント悪化しています。これは、景気低迷の影響を受け市税や地方交付税が減少したことによるもので、臨時財政対策債の増加などにより0.2ポイントの増加に留まってはいますが、財政運営が厳しくなってきていることを示しています。
経常収支比率にみる財政の余裕度〜ゆとりは10年前の半分以下に〜
平成11年度決算の経常収支比率84.0% (ゆとり16.0%)
平成21年度決算の経常収支比率92.7% (ゆとり7.3%)
この間、運動公園の整備や若葉駅西口の開設、西公民館の建替えなどがありました。
経常収支比率を家庭に置き換えると?
「経常収支比率」は、毎月の収入から、家賃、光熱費、食費などの毎月決まった支出にどのくらい支払いをしているか、その割合を示したものです。
もし、経常収支比率が100%だと収入全てを支払いで使ってしまい、100%を超える場合は、お給料では足りなく、貯金を切り崩したり借金をしたりしてやりくりしている状態です。毎月の給料が、ほとんど決まった支出で消えてしまう率が高いということになると、何か特別なモノを買ったりする余裕がないということです。
市の経常収支比率を手取り月30万円の家計にたとえると、平成11年度は4万8000円を自由に使えたのが、平成21年度には2万1900円と減少しています。
この間、生活保護費や高齢者福祉などの扶助費は2倍以上に増額となっています。