日時
令和5年8月21日(木)10時00分~12時00分
場所
鶴ヶ島市立中央図書館 2階 視聴覚室
出席者
小鹿野委員、宮本委員、松村委員、千葉委員、岩谷委員、大竹委員、関委員、清水委員
欠席者
山本委員、松本委員
事務局
蓜島生涯学習スポーツ課長、若月生涯学習スポーツ課主幹
説明員
鶴ヶ島市立図書館 宇佐美館長、三貫納副館長
傍聴人
1人
内容
議題1 ニーズや課題を踏まえた鶴ヶ島市立図書館の管理運営について
要旨
議題1 ニーズや課題を踏まえた鶴ヶ島市立図書館の管理運営について、図書館協議会委員の意見を聴いた。
会議録
会議の経過
1 開会
2 あいさつ
3 審議内容について
1 ニーズや課題を踏まえた鶴ヶ島市立図書館の管理運営について
議 長 協議に入る前に事務局から説明をお願いします。
事務局 資料に基づき説明した。
委 員 入館者数は、例えば休憩コーナーだけを利用した人も含まれるのか。
事務局 そのとおりです。中央図書館の自動ドアの開閉の回数を基にしていますので、正確ではありませんが統計として利用しています。平成27年度までは利用者数とともに減少傾向でしたが、平成28年度にICTコーナーを設置したことから、調べものなどの利用により一旦増えていて、利用者数と異なる推移をしています。
委 員 平成8年の中央図書館開館から令和4年にかけて、資料費は全体的に減少しているが、充足されたという理解で良いか。
事務局 分室の設置後に開館しましたので、数年かけて集中的に図書資料を整備し、進捗によって年間予算ベースとなりました。一時は約1,000万円でしたが、平成28年度には指定管理者制度の導入による経費削減分を充てて1,500万円に、令和3年度からは2,000万円へと増額を図ってきたところです。
議 長 鹿児島市立天文館図書館で運用されている「AI蔵書管理システムシェルフアイ」について、説明していただきたい。
事務局 天文館図書館ではICタグによる図書館管理システムではなく、新しい仕組みとしてAIを活用し、カメラで背表紙を認識して管理するシェルフアイを導入して、蔵書点検の省力化と自動貸出機の設置による業務の合理化や利便性の向上を図っています。鹿児島市の中心地の商業施設内に新設され、休館日はほとんどなく、蔵書数約4万冊、複本を置かない図書館です。鹿児島市は合計で約100万冊の蔵書があり、天文館図書館以外はバーコードによる管理をしています。導入から数か月間は、カメラの調光の調節や背表紙の認識が不安定でしたが、貸出や蔵書点検の処理能力はICタグと同程度です。優れている点は、リアルタイムの書架点検といった機能や将来性が挙げられます。一方で課題は、複本や背表紙の薄い資料の対応、汚破損した場合の判別などがあります。また、自動返却機、予約棚を設置していないため、本市が目指している業務の合理化の効果は充分とは言えません。特に、予約棚の仕組みは開発されていないため、現状では宅配ボックスと連動させて本を一冊ずつ収納することから相当なスペースが必要となります。
議 長 図書館の規模として、4万冊と100万冊は決定的な違いである。複本は何らかの印をつけることで認識できると考えるが、処理能力として100万冊のデータを4万冊と同じように稼働するためには、精度を上げる必要がある。予約棚の設置も非常に重要なポイントであり、システムで予約した図書資料を対面で貸出するのでは人員削減効果が不十分である。また、コストも重要な要素であり、導入経費と保守管理経費、バージョンアップの経費、さらに、導入によってどれだけ人件費の抑制効果を得られるかも考慮することになる。これらを踏まえて最適解を求めていくことになるのではないか。予約棚の設置にあたっては、現況とニーズの把握が必要である。予算に関わるが、施設外に設置できるのであれば、窓口業務終了後に本を借りることができるためメリットは大きい。
事務局 経費についてはICタグと比較検討をしますが、ICタグを貼付しない代わりにシステムで認識するための経費が掛かるため、単価としての違いは少ないと聞いています。おおよその予約件数は、中央図書館で1日当たり約200冊程度、若葉駅前カウンターでは250冊程度ですが、利便性の向上による増加分を見込んでいきたいと考えています。若葉駅前の限られたスペースでは屋内設置は難しく、屋外では、作業効率や導線、設置に要する経費を考慮する必要があると考えています。
委 員 間違えて持ち出したときにチェックできるか。CDやDVDはどうなるか。
事務局 シェルフアイには盗難防止システムはありません。
議 長 DVDの貸出では、媒体を入れ替えられるトラブルが多いため、カバーと媒体の両方を管理することになる。大学図書館ではカバーを取って配架しているが、それでは認識されないことになる。別な視点として、電子化やオンラインサービスが発達している中で、今後もDVDを充実させていくのかを検討する必要がある。図書館で貸出する場合は著作権法上の課題をクリアする必要があるが、将来的にストリーミングで閲覧が可能になれば、DVDからニーズが移行していくのではないか。また、カセットテープやビデオテープは家庭での再生は難しく、貴重な資料は何らかの措置を考えていくことになる。
課 長 以前、LDを多く保有していましたが、ニーズがDVDに移行したことからまとめて廃棄しましたが、DVDについても同じことが起きると見込んでいます。図書館で提供する動画は著作権の関係で高額になりますので、その点も踏まえて検討が必要な時期が近づいてると考えています。
議 長 国のレベルで図書館専用のストリーミングシステムなどの準備はあるか。
課 長 新しい情報はありませんが、約10年前に国立国会図書館が中心となって電子図書館の仕組みを検討し、最近になって市町村での導入が進んでいますので、同じような経過になるのではと考えています。
議 長 それでは、提言書素案の説明をしてください。
事務局 資料に基づき、提言書素案の内容を説明した。
議 長 内容については、例えば、児童書や幼児書に関しては電子化ではなく現物の本の提供していく、といったこれまでの意見が取り込まれている。
委 員 利用者の高齢化への対応について、利用者には障害のある人や免許を所持していない高齢者が多い。つるワゴンを無料で利用できるので、各分室への経路が良くなるといい。
課 長 位置情報についてはバスロケーションシステムが導入され、どこを走っているか分かるようになりました。運行計画の見直しは、バス運行会社の運転手の確保が困難になっている事情をご理解いただきたくお願いします。
議 長 図書館の利用が少ない現役世代、子育て世代の利用のしやすさと高齢者が利用しやすい環境づくりは、それぞれの利害が一致しない課題であるが、どちらも重要であり、どうバランスを取っていくかが大事である。若葉駅前には、立地を活かして人が集うスペースを確保することが重要であり、予約棚の設置によりそのスペースを取れないのは本末転倒である。屋外の設置にあたっては、コストと作業負担の兼ね合いを検討する必要がある。
課 長 ワカバウォークの外壁部分には、構造上、雨が直接当たる場所が多くありますが、雨が当たらない場所の多くは自動販売機などが設置されています。屋外の設置については、コストと導線、メリットを比較検討したいと考えています。
委 員 市民センターのあり方に関わるが、図書館分室の読書スペースは充分ではなく、充実を図っていただきたい。高齢化の対応については、今後、公共施設に求められる機能にどう対応していくかを踏まえて検討していくといいのではないか。
課 長 図書館の蔵書は約50万冊ですが、書架に収蔵する適正範囲は約37万冊とも言われています。このため、明らかに古い資料や価値が陳腐化したものを積極的に除籍しています。特に、閉架書庫には今後も貸出が見込まれない資料が多くあります。現在は、書架に空間ができるようになり、資料の表紙を見せる面出しが増えましたが、これが本来の書架のあり方だと考えています。蔵書が適正範囲に近づいたところで、書架を減らしてできた空間にソファーやタブレット端末を利用できる空間づくりを考えていますが、分室によっては工夫が必要だと認識しています。また、別な視点として、職員構成が高年齢化し、かつ定年延長になりましたので、図書館運営の一部に職員が関わる管理運営体制の見直しを検討しています。
議 長 指定管理者制度の導入により効果的な運営を行い、削減した経費を資料費に充ててサービスの充実を図ってきたが、一方で、地域のコミュニティの中心拠点としての図書館の役割を考えたときに、市の状況や地域のことをよく知っている経験豊富な職員が図書館運営に参画していくことは、ニーズを踏まえたより適切な図書館運営をしていくことができると考えられるものであり、次のステップになるものと理解している。
課 長 具体的なことは今後の検討ですが、適切に移行したいと考えています。
議 長 多くの図書館では、基本的に図書資料の分類に沿って配架をしているが、天文館図書館では、「そだつ」「はたらく」などのテーマによって配架している。これは、技術革新によって管理方法を変えられるということであり、専門的な知識を持っている司書が担っていたことを資格がなくてもできるようになるものである。今後、図書館で働く人に求められるスキルやメンタリティーとどういう構成となるかは関連して考えていくものである。
委 員 利用者は高齢者が多いというイメージがあるが、他市町と比較して、読書するスペースが充実している。分室も各地域にあって、図書館を利用しやすい環境にある。若年層の利用については、学校としては子どもたちに促していくが、学校図書館の利用を勧めている中で、どのようにしたら市立図書館の利用につなげていくことができるかの具体的な方策は難しい。
宮本委員 私たちが子どもの頃に読んだ絵本を子どもたちに伝えたい、残していきたいと考えているが、ニーズの変化によってLDを廃棄したように、変えていくことも必要なことと理解している。
委 員 利用者の視点を踏まえつつ、施設の在り方を考えて充実を図っていただきたい。素案は良くまとめられているので、細部を詰めていくといいのではないか。
委 員 書架にはないが、閉架書庫にあるということはよくある。現物の本を見て、手に取る機会が少ない方もいるので、ソファーの配置より、空いている棚に展示していただきたい。趣旨は理解しているが、長く読み継がれているものは良い本であり、検討していただきたい。
議 長 児童書や幼児書などの書影を表示することはできるか。書影が表示されれば、閉架書庫にあっても見つけやすくなる。特に、絵本の書影をが表示できれば低学年の子どもたちにも探しやすくなるのではないか。
宇佐美館長 許可されないものもありますが、許可されるものは検索端末に書影を表示しています。
委 員 内容は納得しているが、箇条書きもあるとわかりやすい。合理化と利便性を追求することと人が集う場所としての機能は相反するが、図書館サービスのあり方として理解できるし、この方向性は守っていただきたい。特に、人が集い、コミュニケーションを生み出す空間を充実していただきたい。また、司書が持っている英文学、歴史などの専門分野について、スタッフの顔がわかるような情報発信をするとより親しみがわくのではないか。この人に聞けば説明してもらえるし、おすすめの本を紹介してもらえるといった日常的な情報発信があるといい。
議 長 構成については、概念図などの図式があると理解しやすい。近い将来には、簡単なレファレンスはAIができる時代になるため、プロとして得意分野を磨いて、より魅力的なレファレンスができることが求められるのではないか。司書の紹介などの企画は、色々なやり方を試して図書館の利用につなげていくといい。
委 員 図書館は乳幼児期から高齢者まで利用している。幼児期は絵本を見て、触って、感じていくが、成長するとタブレット端末で検索した方が良いという人もいる。高齢になれば自分のやり方がいいという人もいるので、一括りにまとめるのは難しい。以前、東武鉄道では子育てにやさしいまちづくりとして、若葉駅前に子育て支援拠点の提供を募集した際に、保育園として応募した。自然を大切にして、面白い取組をしていると評価されて開園することができた。地域貢献に積極的に取り組んでいる企業もあるので、本を通じたまちづくりとして、予約棚の設置など若葉駅や鶴ヶ島駅を利用する若い人たちが本を手にとって楽しめる空間づくりが進められると素晴らしい。相手のある話だが、そういう機会を捉えて取り組んでほしい。
委 員 中央図書館の新聞閲覧コーナーは充実しているので残していただい。
議 長 時間になりましたので本日の協議を終了しますが、新しいご意見がありましたら年内までにお願いします。
事務局 今後の進め方ですが、ご意見を反映した案をご確認いただいて、その案に関するご意見をお願いします。そこでいただいたご意見を踏まえて、会長と調整の上で最終的に提言書としてまとめさせていただきたいと考えています。次回会議では、次の段階として、令和8年度以降の図書館の管理運営に関してご意見をいただき、次期基本構想の協議へとつなげていきたいと考えています。
議 長 最後に、鶴ヶ島市立図書館のモニタリング結果について説明してください。
事務局 モニタリングの評価項目は大きく分けて5項目あり、評価はABCの3段階で、全てB評価になります。Bは概ね仕様書に沿って適正に運営されたという評価です。Aは仕様書を大きく上回る運営、Cは管理運営が不十分という評価になります。一方で、利用者の満足度に関して改善されていない点について工夫改善を図っていただきたいことを指摘しています。
議 長 本日の会議は終了といたします。
閉会