令和6年第1回議会定例会市長あいさつ

【はじめに】

 議員の皆様、おはようございます。本定例会の開会にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 本日は、令和6年第1回鶴ヶ島市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご参集を賜り、誠にありがとうございます。

【令和6年能登半島地震】

 はじめに、能登半島地方を震源とする地震が発生してから、早くも2ヶ月が経とうとしています。

 多くの方々が、正月の穏やかな時間を過ごしていた中で起きたこの地震は、至るところで地盤の隆起や液状化、土砂崩れや津波などを引き起こしました。輪島市においては、中心部で大規模な火災が発生するなど各地で深刻な被害をもたらしたところです。

 このたびの災害で被災された方々に対し、心からお見舞いを申し上げますとともに犠牲になられた方々の御冥福をお祈りいたします。

 本市では、この地震を受け1月4日仕事始めの部長会議において、私から災害対応に関する訓示を行うとともに、その後2回部長会議を開催して幹部職員による意見交換を行い、改めて市の防災意識を高めたところです。

 今回の能登の地震に伴い発生した、自然界の現象、社会経済の動き、人の行動、行政対応などあらゆる事象を本市に置き換え、想定することで今後の災害対応に備えてまいります。また、埼玉県と連携し被災地支援に向けて職員派遣できる体制を整えた上、今月5日から12日にかけて職員1名を避難所支援のために、七尾市へ派遣しました。こうしたことと並行して市では特設ホームページを開設し、罹災証明書の申請支援や医療機関への受診方法、介護保険サービスに関する案内など被災者支援の情報発信や災害義援金の受付を実施しています。今後も、困難な避難生活を強いられている方々の支援に向け、可能な限りの対応を行ってまいります。

 そして、このたびの災害でも露呈した公助の限界に鑑み、なお一層、市民、地域、関係機関と連携し、市全体の防災力を高めなければならないと考えております。

【令和6年度当初予算】

 さて、本定例会では令和6年度当初予算をはじめ、多くの案件をご審議いただきます。また、4月からの新しい年度を控えた定例会でもあります。この機会に、新年度予算の編成と事業の概要について申し上げ、議員各位、並びに市民の皆様に、ご理解とご協力をお願いしたいと思います。

【国の動向】

 まず、国では経済財政運営と改革の基本方針2023いわゆる骨太の方針において、賃金と物価の好循環に持続性を確保しつつ、成長と分配の好循環を目指すとしています。そして、グリーントランスフォーメーションやデジタルトランスフォーメーションの加速など、投資の拡大と経済社会改革の実行に向けた方針が示されたところです。自治体の財政運営に関しては、地方の一般財源総額が令和6年度においても、ここ数年と同水準が確保される見込みとなっています。

【予算編成にあたって市の考え方】

 こうした状況を踏まえつつ、市では、令和6年度の予算において3つの柱を基本的な考え方に据え予算を編成しました。

 一つ目は、第6次総合計画・前期基本計画の最終年度に向けた「事業の推進」です。

 二つ目は、市民の健康と暮らしを守るための「支援」です。

 そして三つ目は、将来を見据えた魅力ある「投資」です。

 これらを軸に各事業を推進し、市の将来像「しあわせ共感 安心のまち つるがしま」の実現を目指してまいります。

 それでは、新年度の主な事業の概要についてこの3つの柱ごとに申し上げます。

 

【前期基本計画の最終年度に向けた「事業の推進」】

 まず一つ目の柱、「前期基本計画の最終年度に向けた事業の推進」に関する事業です。

 令和6年度は、現行の第6次総合計画・前期基本計画が最終年度を迎えることから、計画の達成に向け重点戦略に位置付けた事業を力強く推し進めてまいります。

  • 重点戦略1  子どもにやさしいまちづくり

 重点戦略「子どもにやさしいまちづくり」の分野では、子育て世帯への経済的支援や教育施設のさらなる充実を図っていきます。

 子育て世帯への支援では、こども医療費の助成対象をこれまでの「中学生まで」から「高校生まで」へと対象を拡大していきます。

 さらに、子どもが病気にかかった際に利用できる病児保育について、利用料の無償化を実施します。これらの費用負担がなくなることで、安心して子育てをしてほしいと思います。こうした取組と並行して、引き続き「伴走型の相談支援」など、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援により、地域で安心して出産し育児ができるよう環境づくりを進めてまいります。

 教育環境の充実については、鶴ヶ島中学校と西中学校との再編に向けた取組を本格化させていきます。令和6年度においては、再編後に施設を使用する鶴ヶ島中学校のグラウンドを改修するほか、生徒の皆さんが安全に通学できるよう新たな通学路整備を進めていきます。

 学校再編以外では、新町小学校において校舎の老朽化対策として外壁改修などを行います。なお、西中学校と南中学校においては、災害時に避難所となる体育館への空調導入に向けた工事を実施します。これにより、すべての中学校の体育館に空調設備が備わることとなります。このほか、昨年度に実証を開始し好評をいただいている民間施設を活用した水泳教室については、令和6年度はモデル校を増やし小学校ではすべての学校で実施していきます。未来を担う子どもたちのためには、子育てがしやすく、子ども自身も安心して楽しく過ごせる環境が必要です。市ではそのための取組をさらに進め、子育て世代に認められ選ばれるまちを目指してまいります。

  • 重点戦略2 いつまでも健康でいられるまちづくり

 次に、重点戦略「いつまでも健康でいられるまちづくり」の分野では、市民が日々の暮らしの中で気軽に健康づくりに取り組めるよう事業を進めてまいります。本市の健康長寿に向けた取組は、過去3年続けて埼玉県知事から表彰を受けているところです。引き続き、フレイルサポーター等の健康づくりの担い手の育成やシルバーeスポーツを活用した認知症予防の取組などを推進していきます。

 これらの取組と併せて、市では、市民の交流の場となる公園の整備を進めていきます。

 今年度は、一本松区画整理地内の街区公園について地域の方を中心にワークショップを開催しました。令和6年度においては、その中でいただいた意見などを活かし公園を整備いたします。多くの方に愛され、利用される公園になるものと考えています。さらに、鶴ヶ島グリーンパークでは、多様な活動に利用できる管理棟や多目的広場において夜間照明の整備を実施します。

 コロナ禍が明け、地域に日常生活が戻ってきました。それとともに、地域団体の活動も活発になってきています。市では今後とも、市民による多様な健康づくりの支援や社会参加へのきっかけづくりを行い、誰もが生涯にわたって健康で暮らせるまちづくりを目指すとともに、外出したくなるような環境づくりを進めてまいります。

  • 重点戦略3 多様な働き方が実現できるまちづくり

 次に、重点戦略「多様な働き方が実現できるまちづくり」の分野では、働く場の確保や鶴ヶ島駅周辺地区のまちづくりと絡めた住環境整備を進めていきます。

 働く場の確保に向けては、スピード感のある開発の手法により、市内への企業立地を図るとともに立地企業を対象とした奨励金制度を活用して、鶴ヶ島市民の雇用拡大と従業員の市内への定住を後押ししていきます。これにより、企業立地の効果を市内でしっかり吸収し、まちの活力につなげてまいります。

 このほか、起業や創業を行う方に向け空き店舗を有効活用した取組を支援していきます。市外などから新しい力を呼び込むことで、まちの魅力向上や地域活力の創出を目指してまいります。

 住環境の整備に向けては、令和6年度にいよいよ事業化する鶴ヶ島駅周辺地区のまちづくりと合わせ、今後の街並みや景観についての検討を行います。鶴ヶ島駅からガーデンパークへと向かう鶴ヶ島駅通りについては、今後の無電柱化を含めた安全な道路空間の整備に着手してまいります。鶴ヶ島駅周辺地区のまちづくりについては、後ほど改めて申し上げます。

 市の南西部に目を転じますと、昨年度の圏央鶴ヶ島インターチェンジのフルインター化と都市計画道路・川越鶴ヶ島線の全線開通に引き続き、来月にはその北側を走る国道407号・鶴ヶ島日高バイパスが全線開通する運びとなっています。さらに、市では懸案であった都市計画道路・共栄鶴ケ丘線の整備に向け、令和6年度には用地買収を行っていきます。このように、圏央鶴ヶ島インターチェンジ周辺をはじめ市の道路ネットワークが一層充実し、交通の利便性がますます高まってまいります。こうした市のポテンシャルを余すことなく発揮し、十分活用できるよう引き続き、企業誘致に取り組むとともに、「(仮称)つるの駅」構想の実現を目指してまいります。

 

【市民の健康と暮らしを守るための「支援」】

 予算編成の二つ目の柱として、「市民の健康と暮らしを守るための支援」を充実させていきます。

 令和6年度においては、新たに市民の健康維持に向け、帯状疱疹ワクチンを接種する費用の助成を実施してまいります。帯状疱疹については、主に50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症するとも言われています。ワクチンの接種による免疫力の強化により、市民の皆さんにこれからもいきいきと過ごしていただきたいと思います。

 さらに、補聴器を購入する費用も助成を実施してまいります。加齢により耳が聞こえづらくなると、会話に支障が生じ人とコミュニケーションも消極的となりがちです。今回、補聴器の購入を支援することで、いつまでも人と関わりを保ち地域での社会参加などにつなげていただきたいと思います。このほか、これまでと同様、昨今の物価高騰による影響から子育て世帯を守っていきます。

 学校給食では、安心・安全でバランスの取れた質の高いおいしい給食を提供していくため、引き続き食材購入費の物価高騰分を市が負担してまいります。保育園においても同様の措置を取ることで、今後も鶴ヶ島市で安心して子育てをしてほしいと思います。

 なお、交通安全への取組についても一層充実させ、今年度に開始した自転車用ヘルメット購入費の助成対象を令和6年度においては全年齢へと拡大してまいります。

 

【将来を見据えた、魅力ある「投資」】

 そして三つ目の柱、「将来を見据えた、魅力ある投資」です。

 先ほど申し上げましたとおり、令和6年度は鶴ヶ島駅周辺のまちづくりが動き出します。これから、ガーデンパークを活用した地域の新たな魅力創出をはじめ、安全な道路空間の形成や魅力ある商店街づくり、地域交流施設の整備などを進めるため5年間をかけて必要な投資を行ってまいります。

 初年度においては、まちの魅力創出に向けて市民の皆さんと意見交換しながら、施設整備の計画や地区全体の景観を検討するほか、鶴ヶ島駅通りについては歩行者の安全性向上などに向けた測量や設計業務を行います。鶴ヶ島駅からの沿道となる商店街については、ガーデンパークと連携した魅力向上を図るとともに、空き店舗を活用した出店について優遇措置を設けてまいります。

 このほか、現在の鶴ヶ島文化会館の敷地に南市民センターの機能を移転させて整備する地域交流施設については、令和6年度は基本計画を策定していきます。鶴ヶ島駅周辺地区のまちづくりについては、地域の将来に向けて市民や地域団体の皆さんと、多方面に渡り意見交換を行ってきました。市ではこうした対話を経て策定した、まちづくり構想や整備計画を基に庁内の各部門が連携し、大きな投資を行っていきます。今後、ハード・ソフトの両面から順次目に見える形となってまいります。数年に渡る、息の長い事業となりますが、一つ一つ着実に進めてまいりたいと考えています。

 このほか、世界的な地球温暖化への対応として、脱炭素など未来に向けた取組も引き続き行っていきます。令和6年度においても、市民や事業者の皆さんと進めるヘチマプロジェクトの取組やゼロカーボン推進店制度の展開のほか、省エネ家電への買い換え費用の助成を改めて実施します。昨年度、市ではゼロカーボンシティ宣言を行いました。一自治体として、今出来ることを確実に実施してまいります。

 

【イベントの充実】

 以上、三つの柱建ての下で行っていく、数々の取組について申し上げました。その中で令和6年度は例年にも増して、イベントや行事が充実することとなりますので最後にご紹介します。

  • 6月にはガーデンパークのオープニングイベントを予定しています。

 このイベントは、株式会社関水金属との官民連携で進めてきた、全国でも例を見ない取組への努力が結実し、市内外の方々に披露する機会となります。当日は、市と関水金属をはじめ商店会や地域団体などの皆さんと協力し、実施していく予定です。様々な主体がイベントの開催に関わることで、オープン後における新たな地域づくりに向けた機運を高めてまいります。

  • 8月には、実に8年振りとなる「脚折雨乞」が開催されます。

 脚折雨乞では、これまでと同様に会場設営や情報発信などの支援を行うとともに、令和6年度の新たな試みとして中学生が関わる取組を行っていきます。脚折雨乞にちなんだデザインを中学生から募集し、これをあしらったオリジナルポロシャツを全生徒に配布して、行事のPRに一役買ってもらうとともに、日常から熱中症対策に取り組んでもらおうというものです。そして、この取組を通じて郷土愛の醸成につなげていきたいと考えています。

  • 10月には、市のふるさと応援大使「鶴」が主催する野外音楽イベント、「鶴フェス」が5年ぶりに行われる予定です。

 前回、北は北海道、南は沖縄県から、1万人以上の方が訪れ大変な賑わいを見せました。来年度は、こうした例年にないイベントの開催により、市外からも多くの方々が鶴ヶ島へお見えになることが見込まれます。この機会に、鶴ヶ島の良さをしっかりとPRし、知名度の向上や転入者の呼び込み、企業の誘致などにつなげてまいります。

【予算総額】

 以上、令和6年度の事業の概要を申し上げました。予算総額は、当初予算額としては3年連続で過去最大となり、総額243億6,000万円、前年度対比17億5,000万円の大幅な増額となりました。これまで、コロナ禍にあっても着々と練ってきた将来に向けた数々の取組が、令和6年度大きく前進してまいります。その中には、先ほど申し上げたとおり未来に向けた、大きな投資が含まれています。

 今後、国全体で人口が減少していく中でこれからの鶴ヶ島の未来を確かなものとしていくためには、欠くことのできない投資です。引き続き、デジタルトランスフォーメーションを含め行財政改革に取り組むとともに、まちの魅力を高めて人や企業の呼び込みを図ることで、鶴ヶ島の活力を将来につないでいけるよう最大限努めてまいります。

【提出議案等について】

 最後に、本定例会に提案させていただきました議案について申し上げます。

 条例に関する議案が17件、令和5年度補正予算に関する議案が7件、令和6年度当初予算に関する議案が6件、市道の認定及び廃止に関する議案が各1件で、このほか報告が2件です。

 内容につきましては提案理由等によりご説明申し上げますので、慎重ご審議の上、ご議決いただきますようお願い申し上げまして、開会の挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

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