概要
- 日時
令和6年6月24日(月曜日)午後2時開会 - 場所
鶴ヶ島市役所 庁議室 - 議題
1.委員長及び副委員長の選出について
2.令和6年度文化財保護審議委員会事業計画(案)について - 報告事項
1.県指定・市指定天然記念物樹勢関係について
2.市指定無形文化財「脚折雨乞」について - 会議の要旨
・審議委員会委員長に村田健二氏、副委員長に岩本克昌氏が選出された。
・令和6年度文化財保護審議委員会事業計画を決定した。
・事務局より、県指定天然記念物「脚折のケヤキ」、市指定天然記念物「慈眼寺の黒這松」の樹勢状況について報告した。
・事務局より、市指定無形文化財「脚折雨乞」について、担当課としての取組み、文化財保護審議委員の当日の対応、記録映像作成事業について報告した。 - 配布資料
・令和6年度第1回文化財保護審議委員会会議次第
・資料1~資料3 - 担当
教育部 生涯学習スポーツ課 文化財担当(285-2194)
会議録
- 出席者
村田委員長、岩本副委員長、山下委員、中野委員、栗原委員 - 欠席者
なし - 事務局
蓜島課長、田中主幹、本多主査 - 傍聴人
なし
議事
【協議事項】
1 委員長及び副委員長の選出について
審議委員の互選により、審議委員会委員長に村田健二氏、副委員長に岩本克昌氏が選出された。
2 令和6年度文化財保護審議委員会事業計画(案)について
事務局 (資料1に基づき説明)
委員長 文化財展に、解説員は付くのか。
事務局 開催期間が長いため、解説員が常駐することは現在の人的配置から困難である。特定の日を定めて展示解説を行う方法もあるが、現在脚折雨乞行事の支援が佳境を迎えていることから、今回は見学のみとしている。
なお、展示施設の一つである市役所は、脚折雨乞行事当日に来場者の駐車場として利用する。その際には職員を常駐させるため、展示物の解説や会場への道案内、チラシ配布などを行う。また、今回は動画共有サイトにて行事の生中継配信を行うため、現在の渡御の様子をモニターに映すパブリックビューイングも実施予定である。
委員長 11月3日に行う高倉獅子舞について、課題・問題点などはあるか。
事務局 昨年は花笠が不足して、高倉地区だけでなく市内全域から募集を掛けて対応した。また、昨年は大人の舞い手も不足し、2日・3日と2日間の開催が困難となったため、3日のみの開催となった。本年は両日開催する予定だと聞いている。
委員長 他に意見が無ければ、令和6年度の事業計画については事務局案どおりとする。
表決 委員全員賛成
【報告事項】
1 県指定・市指定天然記念物樹勢関係について
事務局 (資料2に基づき説明)
委員長 不定根とは、どういうもので、どのような状態か。
事務局 ウレタン樹脂で被覆していた内側が腐朽し、その部分の水分や栄養素を摂りながら、幹の上から伸びた細い根が不定根である。この不定根を地面まで伸ばし、幹になるよう処置を試みたが、枯れてしまったという状況である。
委員 ケヤキ・黒這松について、予算について教えていただきたい。
事務局 本年度はいずれも補助金は支出しないため、予算措置もしていない。通常の管理の一環として、所有者負担にて保存処置を行っていただいている。ケヤキについては、令和8年に樹木医による定期的な診断と剪定を予定しており、こちらは県及び市からの補助金支出を予定している。
委員 黒這松には定期的に補助を行っていたと記憶している。今は樹勢が安定しているが、今後状況が変わればまた補助をしながら処置するという考えか。
事務局 お見込みの通りである。ただし、現状で言えば、樹勢はかなりよい状態にある。薬剤の種類・量を変えたことが奏功したと考えている。
2 市指定無形文化財「脚折雨乞」について
事務局 (資料3に基づき説明)
委員 市の指定となって50年になる。市の教育委員会として、県の指定を目指す予定はあるか。
事務局 過去に何度か県指定を目指して申請したことがあった。しかし、当時の県の保護審議委員長から、「4年に一度の開催では、伝統行事と言うよりもイベントである」旨の意見をいただいた。
委員 指定については、一度切りでなく、何度も挑戦すべきものだと考える。また、コロナ以降、全国的に後継者不足が問題となっているが、脚折雨乞については如何か。
事務局 厳しい状況である。特に今回は、令和2年の開催中止によって役員の代替わりができず、高齢化が大きな問題となっている。
委員 県の指定とする上で、行事を担う保存会の体制が整っているかが、大きな問題となる。保存会と話し合い、市としても協力していくことが重要である。
事務局 保存会の母体は、脚折地区の自治会である。全国的な問題でもあるが、自治会への加入率が低下しており、自治会活動が停滞している。これは脚折雨乞行事保存会の活動にも直結する課題であるため、今後も解決策について協議していきたい。
委員 市の目玉の行事でもあるため、市民全体で支援し、担い手が増えることで安定が図られるだろう。都内の祭りでも、担ぎ手は外部の人が入ってきている。
事務局 脚折地区の住民には、地元の行事だという自負がある。龍蛇の製作は脚折住民、担ぎ手は市民というように、少しずつ在り様を変えていく時期に差し掛かっているとも考えている。
委員長 担ぎ手は、希望制で集めるのか。
事務局 300人の殆どを脚折地区で集め、一部市内在住・在勤の方から募集している。脚折地区内では自治会を通じて募集を掛けているが、難航している。
委員長 コロナで間が空いてしまった影響は大きいか。
事務局 大きいと考えている。
委員長 藁から育て、刈り取り、ご神体を作るという行事は、非常に稀有な行事である。その分、担い手への負担も大きいと考える。
事務局 そこで保存会としても、行事の核となる部分は保存会が行い、駐車場や会場設営、飲食など、周辺部分は市に担って欲しいと要望されている。
委員 今回記録映像を製作するが、国選択に登録された際に、補助を貰って製作してはいないのか。
事務局 これまで国から補助を貰い、製作したことはない。一般財団法人からの補助を活用して製作したことがある。
委員 これまでに製作したものと、今回製作するもので、視点の違いはあるか。
事務局 これまでは、行事の記録を正確に残すことを主眼としていた。今回は後継者育成や技術の継承が大きな課題となっているため、後世に引き継ぐための教材となるような記録を残したいと考えている。今回の補助は文化財第二課が所管するもので、記録保存よりも普及啓発を主としたものである。一方で、国選択でもあることから、文化財としての価値を残す映像にする必要があるため、製作委員会を開催するよう条件が付されたものである。
委員 何分の映像を製作するのか。
事務局 記録保存用のものが30分、普及啓発用のものが3分と考えている。時間についても、製作委員会で意見を伺いたいと考えている。
委員 業者選定は年度で行っているだろうが、麦播きなど、一連の作業は昨年から始まっている。昨年に行った作業の映像はどのようにするか。
事務局 保存会の事業であるが、市の財務規則に準じた契約を行った。結果として、昨年の麦播き・麦踏み・竹切りなどの作業を取材している業者に決定となったため、記録用の素材は揃っている状態である。
委員 自治会員から負担金を集めることに反対の意見も出るだろう。今後は組織の再構築も必要となる。企業やその社員に関わって貰うなど、組み直しも考えなくてはならない。また、4年に一度という点も、継承を難しくしている。本番は4年に一度でも、間の年に何かイベントを行うなど工夫する必要がある。また、川越にはまつり会館など資料を展示する施設があるが、鶴ヶ島にはない。資料を見せるための施設も、行事の普及啓発には重要である。
委員 昨年の高倉獅子舞では、11月3日の開催であったが、熱中症で倒れた方がいた。8月4日となると、より暑さ対策は重要となる。救護所や救急搬送の手筈など、準備はしているか。
事務局 龍神渡御については、担ぎ手が休憩所で水分・塩分補給ができるように準備するとともに、万が一に備えて医師が帯同している。来場客については、会場内で水分が買えるような出店を用意するとともに、会場内及び若葉駅からの道中にミストファンを導入する予定である。その他、各自熱中症対策をするよう、HP などで呼び掛けている。
委員長 全て問合せ先が市になっているが、主催はどこになるのか。
事務局 主催は脚折雨乞行事保存会である。会としての代表連絡先は会長個人となるが、問合せが多いため、市を窓口としている。
委員 取材各局に向けた情報発信を行っているか。
事務局 川越記者会を通じて、情報発信を行っている。既に多数の取材依頼がきている。
委員 撮影した記録映像について、その後の活用方法はどのように考えているか。
事務局 今までは保存用に加え、依頼があった際の貸出し用として活用していた。今回は、図書館や各学校に配布し、身近に活用して欲しいと考えている。短い普及啓発用の映像は、動画共有サイト等を利用して発信する予定である。
委員 活用の方法としては、いわゆるインフルエンサーなどを活用することが、若い担い手を育てていく上で有効と思われる。
事務局 保存会役員の高齢化が顕著であり、発信については苦手としてきた分野である。一方で、若い役員の中には、SNS 等を使って積極的に情報発信を行っている方もいるため、市も協力しながら、若い世代への周知に努めたい。
委員 企業にスポンサーになって貰うことで、発信力が向上するとともに、収益も見込まれる。検討して欲しい。
事務局 生中継放送の途中に、協賛をいただいた企業のコマーシャルを入れる予定である。ただし、保存会は地元の行事として自分達で行うという自負もあり、多額の協賛は募ってはいない。物価も上がり、警備や会場設営等に掛かる諸費用の負担も大きくなっているため、意識改革も必要と考えている。
【その他】
事務局 今回の文化財講習会のテーマは「水と祈り」である。脚折雨乞との関連からも職員も是非出席したいが、行事直前で職員は随行できない。ご都合が付けば、是非出席して欲しい。
質疑 なし
委員長 それでは、令和6年度第1回文化財保護審議委員会を閉会とする。