「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率を公表します。
健全化判断比率は、市の財政状況を「早期健全化」と「財政再生」の2段階の基準により財政の悪化をチェックするとともに、特別会計や企業会計もあわせた連結決算により地方公共団体全体の財政状況をより明らかにしようとするものです。
1.経過と概要
平成19年6月に地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。)が成立し、平成21年4月に全面施行されました。
健全化判断比率は、財政状況が悪化している地方公共団体が、早い段階で財政の健全化や再生に向けた取り組みを行うために地方公共団体全体の財政健全度を示す指標として法律で定めたものです。
なお、算定した健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)は、監査委員の審査に付し議会へ報告し、市民の皆さんへ公表することが義務づけられています。情報開示を徹底するとともに、4つの健全化判断比率のうち1つでも、それぞれに設けられた「早期健全化基準」、「財政再生基準」を超えた場合は、早急に改善に努めなければなりません。
2.鶴ヶ島市の状況(平成24年度決算に基づいて算定)
指標 | 内容 | 鶴ヶ島市の 比率(%) | 早期健全化 基準(%) | 財政再生 基準(%) |
---|---|---|---|---|
実質赤字比率 | 一般会計などの実質赤字が標準財政規模に占める割合 |
− |
13.04 |
20.00 |
連結実質赤字比率 | 市の全ての会計の実質赤字が標準財政規模に占める割合 |
− |
18.04 |
30.00 |
実質公債費比率 | 市の全ての会計及び一部事務組合などが負担する実質的な公債費が 標準財政規模に占める割合 |
7.9 |
25.0 |
35.0 |
将来負担比率 | 公債費や債務負担行為、職員の退職手当など、市の全ての会計や一部事務組合、 土地開発公社に係る将来負担すべき債務が標準財政規模に占める割合 |
23.0 |
350.0 |
○実質赤字比率と連結実質赤字比率は、黒字のため「−」で示しています。
表の見方
4つある比率のうち、すべてが基準内であれば「健全段階」となり、いずれかが基準を超えた場合には、その程度により「早期健全化段階」、「財政再生段階」となります。
平成20年度の決算から、早期健全化段階や財政再生段階になった場合には、財政健全化計画や財政再生計画を策定し、財政の健全化を図ることが法律により義務付けされました。
鶴ヶ島市はいずれの数値も基準を下回っているため「健全段階」に区分されますが、今後とも行財政改革を積極的に推進し、一層の健全化に取り組んでまいります。
【用語解説】
早期健全化基準
4つの指標のうち、1つでもこの基準以上となった場合には、「早期健全化団体」となり、財政健全化計画を策定して自主的に財政の健全化に取り組むことになります。
財政再生基準
将来負担比率を除く3つの指標のうち、1つでもこの基準以上となった場合には、「財政再生団体」となり、財政再生計画を策定して、国の監督の下で財政再建に取り組むことになります。
3.財政健全化判断比率の各指標の算定について
実質赤字比率
(1)実質赤字比率
一般会計等を対象とした実質赤字額の標準財政規模に対する比率であり、これが生じた場合には赤字の早期解消を図る必要があります。
〔算定式〕
【用語解説】
○一般会計等
「一般会計等」とは、一般会計と一般会計に属する特別会計で区分されます。
鶴ヶ島市では一般会計、坂戸都市計画事業一本松土地区画整理事業特別会計、坂戸都市計画事業若葉駅西口土地区画整理事業特別会計が該当します。
○標準財政規模
地方公共団体の一般財源の標準的な大きさを示す指標で、財政健全化判断比率などの基本的な財政指標の分母となる重要な数値です。地方税や地方交付税など地方公共団体が自由に使えるお金(一般財源)の総量を表しています。
(2)連結実質赤字比率
一般会計等に公営事業会計や国民健康保険等の特別会計を含めた全ての会計を対象とした実質赤字額(または資金不足額)の標準財政規模に対する比率であり、これが生じた場合には問題のある会計が存在することになり、その会計の赤字の早期解消を図る必要があります。
〔算定式〕
【用語解説】
○全ての会計
一般会計等と公営事業会計の該当する全ての会計です。
鶴ヶ島市では一般会計等に国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の各特別会計を含めたものです。
(3)実質公債費比率
市債(市の借入金)に対する返済額(元利償還金)及びこれに準じる経費の額(準元利償還金)が標準的な収入に対してどのくらいの割合にあるかを算出した比率で、3か年度の平均で算出します。
この指標は、平成18年度に地方債が許可制度から協議制度へ移行したことに伴い、起債の制限のための指標として導入されており、段階的に基準が設けられています。
18%以上 − 地方債発行に国や都道府県の許可が必要になる。
25%以上 − 独自事業の起債が制限され、財政健全化団体に指定される。
35%以上 − 国と共同の公共事業向けの起債が制限され、財政再生団体に指定される。
〔算定式〕
【用語解説】
○元利償還金
一般会計等が起こした市債に係る元金及び利子の当該年度に返済した額です。
○準元利償還金
実質公債費比率の算定ルールとして、透明化、明確化、厳格化を図るため、公債費に準ずると考えられるものや、実質的に公債費と変わらないものを「準元利償還金」として算入しているものです。
鶴ヶ島市では以下の項目が該当しており、この合計額が準元利償還金となります。
a) 一部事務組合等の起こした地方債の償還に充てたと認められる負担金
平成24年度に算定の対象となった一部事務組合は、埼玉西部環境保全組合、坂戸、鶴ヶ島下水道組合、坂戸・鶴ヶ島消防組合が該当し、その他の鶴ヶ島市が関係する一部事務組合等は該当ありませんでした。
b) 公債費に準ずる債務負担行為に係るもの
債務負担行為に基づく支出のうち、建設事業の経費などの公債費に準ずるとされるものが該当し、南小学校や南中学校の校舎増築事業、運動公園整備事業や土地開発公社の用地先行取得事業に係る経費などが該当しています。
○元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額
地方交付税の算定上で、基準財政需要額に算入される元利償還金や準元利償還金です。
基準財政需要額とは、合理的かつ妥当な水準で行政を行った場合の財政需要を算定したものです。
実質公債費比率の分子、分母の両方から控除していますが、これは交付税で措置されていることから、実質的には市の負担とはならないために分子、分母から控除しているものです。
(4)将来負担比率
市債(市の借入金)の元金の現在高や債務負担行為の支出予定額、職員の退職手当負担見込額、土地開発公社に対する負担見込額などの将来負担額(実質的な債務残高)から、市の設置する基金など市債等の償還に充てることができる財源(充当可能財源)を控除した「実質的な将来負担額」が、標準的な収入に対してどのくらいの割合にあるかを算出した比率です。
〔算定式〕
【用語解説】
○将来負担額
市債(市の借入金)の元金の現在高や債務負担行為の支出予定額、職員の退職手当負担見込額、土地開発公社に対する負担見込額など、一般会計等が将来的に負担する見込額です。
鶴ヶ島市では以下の項目が該当しています。
a)算定対象年度の年度末における市債の元金現在高
b)債務負担行為に基づく支出予定額
c)一部事務組合が起債した地方債の元利償還金に対する負担見込額
d)退職手当支給予定額
e)設立法人の債務等に対する一般会計等の負担見込額
対象:鶴ヶ島市土地開発公社、埼玉県信用保証協会
○充当可能基金
a)からd)に充てることができる基金
○地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額
地方交付税の算定上、元利償還金及び準元利償還金に対し、今後の基準財政需要額に算入される見込額
4.資金不足比率
資金不足比率は、公営企業ごとの資金不足額の事業規模に対する比率であり、これが生じた場合には資金不足の早期解消を図る必要があり、20%を超えると経営健全化団体に指定されます。
なお、鶴ヶ島市は公営企業に係る特別会計がありませんので該当しません。
5.鶴ヶ島市の会計区分のイメージ
下記の関連書類を御覧ください。