鶴ヶ島市の小・中学校は、児童・生徒数の減少による小規模化と学校施設の老朽化が進んでいます。
鶴ヶ島市教育委員会は、学校規模の適正化と学校施設の整備による教育環境・教育機能の向上を図り、魅力ある学校づくりを進めます。
小・中学校の現状と今後の児童・生徒数の推移
□児童・生徒数
児童・生徒数は減少傾向にあり、平成2年度に9,311人でしたが、令和2年度に5,005人となり、10年後の令和12年度には4,143人、30年後の令和32年度には、2,903人に減少すると見込まれています。
児童・生徒数のこれまでの推移と将来推計(「鶴ヶ島市小・中学校の再編、再配置計画」より)
□学級数
鶴ヶ島市教育委員会では、小・中学校の適正規模を12学級から18学級としています。
令和4年5月現在、市内の小学校1校、中学校3校が適正規模を下回っています(小規模化)。
今後、ほとんどの学校が小規模化し、全学年1学級の学校が生じることが見込まれます。
□学校施設
市内の小・中学校の校舎等は、全て建設してから35年以上(2校は50年以上)経過し、老朽化が進んでいます。
今後、維持管理にかなりの費用が必要になり、大規模改修、築60年で建替えをした場合、400億以上の経費が必要と見込んでいます。
小規模校のメリット・デメリット
□小規模校のメリット
○学習面
一人ひとりに目が届きやすく、学習について、基礎的・基本的な事項の定着が図りやすくなります。
学校行事や部活動等で、児童・生徒一人ひとりの個別の活動機会を設定しやすくなります。
○生活面
児童・生徒相互の人間関係が深まり、異学年の縦の交流が生まれやすくなります。
○その他
教職員間の意思疎通が図りやすく、相互の連携が密になり、学校が一体となって活動しやすくなります。
□小規模校のデメリット
○学習面
多様な考え方にふれる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少なくなり、グループ学習や習熟度別学習など多様な学習・指導形態を取りにくくなります。
1学年1学級の場合、学級間の相互啓発がなく、学校行事や集団教育活動に制約が生じやすくなります。
部活動等の設置が制限され、選択の幅が狭まります。
○生活面
クラス替えが困難なことから、人間関係が固定化しやすくなります。
○その他
教職員が少ないため、経験、教材、特性などの面でバランスの取れた配置が行いにくくなります。
□教職員の課題
”子どもの数が少なければ先生の目が届きやすい”と言われます。一面では正しいでしょう。
小・中学校の教職員配置基準があり、特に中学校では、小規模化に伴い、学級数に応じ教職員も減員となります。
小規模化が進むと、中学校は、
- 教科担任制で9教科全てに常勤の教員を確保できないこと
- 教員一人あたりの校務量が増え、生徒と向き合う時間が減少すること
- 生徒、教員の減少から実施できる部活動が制限されること
など、いろいろな影響が懸念されます。
学校再編の必要性
□教育効果の面からの必要性
学校は、児童・生徒が集団の中で多様な考えにふれ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて、一人ひとりの資質や能力を伸ばしていく場であることから、一定規模の集団を確保する必要があります。
人間関係の固定化や序列化が生じないように、各学年でクラス替えができるようにする必要があります。
□学校運営の面からの必要性
学習指導は、児童・生徒に多様な方法で指導したり、中学校では専門的な教員が指導したりすることで、学習の理解や定着を高めることから、一定の学校規模を確保し、一定の教員数で学校を運営していく必要があります。
□学校施設の面からの必要性
建設当時は一般的な整備水準であった学校施設も、現代社会に求められるユニバーサルデザイン化や省エネルギー性能等の社会的要求に対応できなくなっています。
学校の多様な教育方法に対応できるよう、時代に見合った教育環境を整備するため、学校を集約して予算を集中的に投入し、計画的な維持管理が必要です。
適正規模・適正配置の考え方
□学級数による学校規模の分類(公立小・中学校の国庫負担事業認定申請の手引きから引用)
過小規模 | 小規模 | 適正規模 | 大規模 | 過大規模 | |
小学校 | 1~5 | 6~11 | 12~18 | 19~30 | 31以上 |
中学校 | 1~2 | 3~11 |
□鶴ヶ島市の適正規模の考え方
- 学習や生活の指導が適切に行えるような規模
- クラス替えにより、新しい人間関係を生じ、多くの友達や教員と出会うことで、集団ルールを学び、社会性や協調性を身に付けられるような規模
- 必要な教員の数が確保され、分掌する校務の適切な配分により、児童・生徒に対する指導や教科学習の充実が図れ、また、緊急時における支援体制がとりやすく柔軟な対応ができるような規模
小学校 | 各学年2~3学級(全学年合計12~18学級) |
中学校 |
各学年4~6学級(全学年合計12~18学級) |
「鶴ヶ島市学校再編に関する基本方針」より
□適正配置の基本的な考え方
○国の通学距離、通学時間の考え方
<通学距離の基準>
小学校:おおむね4km以内 中学校:おおむね6km以内
<通学時間の基準>
小・中学校:おおむね1時間以内
○鶴ヶ島市の通学距離の考え方
<通学距離の基準>
小学校:おおむね2km以内 中学校:おおむね3km以内
鶴ヶ島市の学校再編
鶴ヶ島市教育委員会は、平成29年1月に「鶴ヶ島市学校再編に関する基本方針」を策定しました。
令和4年2月には、「鶴ヶ島市小・中学校の再編、再配置計画」を策定し、現在の学校教育の水準を将来にわたって維持・向上し、良好な教育環境の整備・充実を図るよう学校再編・長寿命化を行うことを決めました。
□学校再編で目指す学校づくり
|